Jacob Sutton: Lil Buck
Jookin’二部作の前編。ゴムのような身体を持つダンサー、リル・バック
革新的なアメリカ人ダンサー、リル・バックが、重力さえもものともしない身体表現を披露する。監督ジェイコブ・サットンによる最新作の音楽を飾るのは、ブレイク直前のラップ・スター、アジーリア・バンクスの「Liquorice」。
NOWNESSで発表した、LEDに包まれたスノーボーダーを捉えた作品に続き、サットンはさらに予想外の表現へと踏み込もうとした。そこで、父親でありエレクトロニクスの専門家でもあるジョン・スパッチャーに声をかけ、イギリスのコッツウォルズにある納屋のなかに、巨大な回転式の木製キューブをつくり上げた。
「普通の重力には従わないような環境をつくりたかったんです」と、The New York TimesやAdidas、Y-3などのために撮影してきたファッション・イメージメーカー、サットンは語る。
「自分がどこにいるのか、その基準点すらわからなくなるような、内部空間というアイデアが好きでした。特殊効果を生み出すには、すごく自然な方法なんです」
『2001』や『Inception』に登場する無重力のシーンから着想を得たサットンは、バックを招き、ダイナミックに回転するセットの動きに、彼自身の身体のうねりをぶつけることにした。
メンフィス出身のバックことチャールズ・ライリーは、Jookin’――Gangster Walkingから進化したストリートダンス――と、クラシック・バレエのトレーニングを融合させた唯一無二のスタイルで一躍注目を集めた。
そのきっかけとなったのは、スパイク・ジョーンズが撮影した映像だった。チェリストのヨーヨー・マと即興で共演するバックの姿を捉えたこの映像が、瞬く間にバイラルとなったのだ。
以来、若きダンサー/振付家はM.I.A.やニッキー・ミナージュとともにMadonnaの話題のSuper Bowl XVLIハーフタイムショーに出演。現在は、彼女の新たなMDNA Tourでも主要ダンサーを務めている。
「彼は誰かの車道に立っていても、ポーチにいても、通りの真ん中にいてもいいんです」と、バックの磁力についてサットンは語る。
「そして踊り始めた瞬間、そこに魔法が生まれる。まったく新しい動き方なんです」