Just Dance: 中野公揮ーMue

パリの豪奢なHôtel de Ville、その液体のような黄金に溶け込む

フランス語で「脱皮」を意味する「Mue」。それはひとつの段階を終え、次の段階へと進んでいくことを象徴する。生まれ変わること、そして変化していくアイデンティティ。その感覚が、中野公揮の「Mue」のために制作されたミュージックビデオにも流れている。

長年にわたり中野とコラボレーションを続けてきたベンジャミン・セロッシが監督を務めた本作には、変化や成長の過程にしばしば立ち現れる、緊張とドラマの気配が漂う。

このダンスフィルムのために中野公揮が迎えたのは、世界的に活躍するコンテンポラリーダンサー/振付家、ニコラ・ユシャール、ニック・クーツィエ、クリスチャン・ヤヴ。撮影の舞台となったパリの市庁舎Hôtel de Villeの金色に輝く壮麗な空間にもかかわらず、3人のダンサーは研ぎ澄まされた親密さを保ち続ける。豪華なカーテンも、クリスタルのシャンデリアも、古典絵画も、彼らの周囲ではただの背景へと変わっていく。

「公揮のために撮影した8本目のビデオでした」とセロッシは語る。「このプロジェクトでは、それまでに3本、コンクリートや金属、錆といった、とてもモダンな建築空間を使って撮影していました。だから、何か別のものが欲しかった。オペラハウスで撮りたかったんです。ただ、そこにアシッドな感覚を加えて、サイケデリックな雰囲気を生み、空間そのものにひねりを加えたかった」

『Mue』に登場するすべての視覚効果は、撮影現場で生み出された。巧妙なカメラアングル、振動する鏡、反射する天井によって、絶えず姿を変え続ける世界が構築されていく。さらに、手動で操る照明のドラマティックな効果を高めるため、自然光は一切入り込まないようにされた。

完成した映像について、セロッシは「液体の黄金、あるいは黄金の水がスクリーンに流れ込んでいるよう」と表現する。

「まさに、それが僕の頭のなかにあったものです。この大きな空間をひとつの土台として使い、そのなかで遊ぶ。そして、とてもクラシックなものから、とても抽象的なものへと移っていくんです」

振付に込めた精神について、ユシャールはこう語る:

「人間はみな、どこかに属していると感じる必要があります。そして、守ってくれたり、インスピレーションを与えてくれたりする人たちとともに、何かを成し遂げる旅を歩むことで、自分自身の力を感じる必要があるんです」

その言葉は、「Mue」が収録された中野公揮のアルバム『Oceanic Feeling』そのものにも通じている。「Oceanic Feeling」という言葉は、フランスの作家・音楽家ロマン・ロランが生み出した表現で、「外の世界全体とひとつになる感覚」を意味する。

『Mue』は、変化のただなかで自分と世界との境界が溶けていく、その瞬間を捉えている。