Just Dance: Be Free

不正義が生む痛み、苛立ち、怒りを身体に宿す、森のなかのダンス

この作品の出発点となったのは、J. Coleが2014年に発表した楽曲「Be Free」だった。アメリカで黒人の男女が組織的に殺されている現実を告発した曲だ。

「この曲が主に扱っているのは、不正義と奴隷制度。どちらも、今なお世界に存在しています」と、このプロジェクトで振付を手がけたマリク・モハメッドは語る。「そのメッセージに、すぐに心を動かされました。歌詞と、その曲が届けられる方法に触れて、ダンスを通してこの曲を解釈したいと思ったんです」

受賞歴を持つ映像作家アンソニー・ンティが監督した『Be Free』は、抑圧的なシステムのなかで生きる人々が抱える、内側の苦悩を身体で可視化した作品だ。

ンティは、生々しく映画的なスタイルで撮影し、痛みを抱えたダンサーたちの足取りと、ゆっくりと切実に響くサウンドトラックとのあいだに、胸を締めつけるような対比を生み出している。

「ダンスだけを通して物語を語り、このメッセージを伝えるという挑戦に心を奪われました」と監督は語る。

「アーティストである私たちは、自分たちの見た目や属性にかかわらず、作品をつくり、それを見てもらい、認めてもらうために戦わなければならない。僕はその内なる闘いを描きたかったんです」

「ダンスだけを通して物語を語り、このメッセージを伝えるという挑戦に心を奪われました」

『Be Free』に、昨年のBlack Lives Matterの抗議運動の際に拡散された映像と同じ、言葉にならない感情を感じ取る人もいるかもしれない。

その映像に登場したのは、South Central出身のダンサー、ビッグ・モジ。警察の隊列を前に、彼は反抗するようにKrumpを踊っていた。

「痛みも、苛立ちも、怒りも感じることができる。このビデオが伝えているのは、ふたつのことです。いま世界で起きていること。そして、不正義について」とモハメッドは語る。