Just Dance: Blood Echoes
ロシアの世界的なバレエ学校を卒業した、初のBlack dancer。その軌跡を映すモノクローム・ポートレート
ゲイブ・ストーン・シェイヤーは、高校時代の半分以上をロシアで過ごした。彼が師事したのは、世界最高峰のバレエ学校のひとつとされるモスクワのBolshoi Ballet Academy。
フィラデルフィア出身のシェイヤーは、同校を卒業した初のBlack dancerとなった。そして現在は、ニューヨークの名門American Ballet Theatreで踊りながら、バレエ界に自身の足跡を刻んでいる。
「ゲイブ・ストーン・シェイヤーから、Black ballet dancerとしての自身の経験について映画をつくりたいと連絡をもらいました」と、アーティスティック・ディレクター兼振付家のエイミー・ガードナーは語る。
「参考にしたいものや感情、彼の幼少期、アカデミーでの経験について話し合いました。この作品は、ゲイブが踊りを通して純粋で、生々しい感情を表現する、モノクロームのソロ・ポートレートです。
同時に、Bolshoi Academyにいた頃のゲイブのポートレートと、現在ニューヨークで暮らし、強い孤独を感じている彼の姿を並置したいとも考えました」
「この作品は、ゲイブが踊りを通して純粋で、生々しい感情を表現する、モノクロームのソロ・ポートレートです」
この作品でもっとも心を揺さぶる要素のひとつが、サウンドトラック「Come Out」にまつわる物語だ。手がけたのは、ミニマル・ミュージックを代表する作曲家スティーヴ・ライヒ。
楽曲には、1960年代に録音されたダニエル・ハムの音声が5秒間のループとして使用されている。ハムは、Harlem Sixの裁判に関連して、自分が犯していない犯罪を自白させるために警察から激しい暴行を受けた人物だ。
「歴史的に、この曲は警察による暴力と結びついています。だから当時起きていた不正義を、ゲイブの動きと映画全体のトーンを通して響かせたいと思いました」とガードナーは語る。
「そして、このリファレンスを使うことで、こうしたヘイトクライムや人種差別をめぐって、過去56年間にどれほど変化がなかったのかを、あえてさりげなく浮かび上がらせることもできると感じました」