Just Dance: Hbny

ニコラ・プッサンの壮大な傑作を再解釈する、ジャンルを越えたダンス

『Hbny』(イーボニーと読む)は、クリス・エミールがゲティ・ミュージアムの依頼を受け、ニコラ・プッサンの『The Abduction of the Sabine Women』に応答するかたちで制作したダンスフィルムだ。ここで描かれるのは、神話上の民族サビニ人をめぐる新たな物語。ローマの征服者たちによって犠牲となったこと以外にはほとんど知られていない彼らを、プッサンの傑作から解き放ち、別の視点から捉え直していく。

LAの荒涼とした都市空間、Devil’s Gateで撮影された本作。エミールが描くサビニ人たちは、古代でありながら現代でもあるような風景のなかに生きている。そこでは、激しさと優しさ、分かち合う悲しみ、そして抑えきれない歓喜が交差する。自らの身体と精神を自らの手に取り戻し、自由と主体性を謳歌する人々の姿が浮かび上がる。

コンテンポラリーダンス、バレエ、そしてアフリカン・アメリカン・ソーシャルダンスのスタイルを融合させながら、エミールの『Hbny』は、ファインアートの視点を通して、アイコニックなヒップホップ・ミュージックビデオが持つ壮大な感覚を呼び起こそうとする。