Just Dance: I Don't Need a Reason

Lady Camdenが纏う気品。RuPaul’s Drag Raceのスター、レックス・ウィーラーを紐解くダンス・ポートレート

RuPaul’s Drag Raceのファンなら、シーズン14に登場した気品あふれる出場者Lady Camdenをすぐに見つけることだろう。映像作家ルーク・ウィリスが監督したこのダンス・ポートレート『I Don't Need a Reason』は、現在放送中のシーズンの特定エピソードに合わせて制作された、6本のコラボレーション・ショートフィルムのひとつ。本作は、Lady Camdenがドラァグを脱ぎ、レックス・ウィーラーとして素顔で登場する唯一の作品でもある。

「このショートフィルムは、バレエダンサーとして歩んできたLady Camdenの豊かなキャリアを讃える機会でした」と語るウィリス。彼自身も映画の道へ進む前、約7年間にわたってSan Francisco Balletでバレエダンサーとして活動していた。

「シーズン14、エピソード12のランウェイのためにKatty Scottが制作した美しいチュチュを見せるだけでは十分ではありませんでした。ネイルを外し、リップを落とし、髪やシューズも取り去って、Lady Camdenという存在の奥にいるアーティストを見せることが重要だったんです」

「この時点で、シーズンの終盤に差しかかり、Lady Camdenはファイナリストの座にあと一歩というところまで来ていました。だからこそ、その瞬間に彼女がどこから始まったのかを、親密に掘り下げたかった。なぜRexはバレエを始めようと思ったのか。そして、その動機と、その後ドラァグへ進みLady Camdenという存在を生み出した動機のあいだに、どんな共通点を見いだせるのか。そこにある問いが、この映画を作る原動力になりました」

サンフランシスコを象徴する2つの場所を舞台に、国際的に活躍する地元のクィア・アーティスト、マイルズ・サッチャーが振付を担当した『I Don’t Need a Reason』。それは、ウィーラーがLady Camdenという存在を見つけることを後押ししたコミュニティへの賛歌でもある。

Drag RaceのスターがSmuin Contemporary Balletのマックス・ファン・デル・ステールと踊るパ・ド・ドゥは、ドラァグがもたらす変容の力を視覚的な寓話として描く。生々しさから豪奢さへ、肉体的な感覚から幻想へ。その姿は、ひとつの身体が別の存在へと移り変わっていく瞬間を捉えている。

さらにサウンドトラックを飾るのは、ドビュッシーの「Clair de Lune」。その旋律が持つおとぎ話のような魔法は、Lady Camdenがスクリーン上で放つ魅力とも響き合う。

「どんなアーティストも、なぜ自分が創作するのか、その理由をいくつも挙げることはできるでしょう。でも、そのどの理由を並べたとしても、創作への呼びかけがアーティストを突き動かす、その力の強さを説明するには十分ではない」とウィリスは語る。

「Lady Camdenが気づいていくように、実は理由なんて必要ない。ただ好きだから、そして、それなしでは生きていけないからなんです」