Just Dance: Lost Man

喪失の深淵を可視化する。ウッドキッドとモーゼス・サムニーの音楽に導かれる、白い空間のダンス

深い悲しみは、ひとつの奈落だ。感情がその対極を見つけることのできない、完全な空白。身体を動かしても、何も結果を生まない場所。喪失がもたらす圧倒的な重さは、言葉から意味を奪い、苦しむ者を沈黙させる。残されるコミュニケーションの手段は、意思とは無関係に生まれる身体の反応、痙攣するような動きだけ。エネルギーは、どこへも受け渡されない。

新作フィルム『Lost Man』は、ムーブメント・ディレクターのシャイ・ラトゥコランが主演し、ミュージックビデオ・ディレクターのヘンリー・ショーフィールドとのコラボレーションによって生まれた作品だ。ここで描かれるのは、その空洞そのもの。主人公を演じるラトゥコランは、圧倒的な感情と対峙し、やがてその支配に身を委ね、そして最終的には、それによって自分自身が崩壊してしまう前に乗り越えていく。

何もない、冷たくブルータリスト的な空間。そのなかでウッドキッドとモーゼス・サムニーによるサウンドトラックが、清澄さと脈打つような激しさのあいだを反響する。癒えるのか、それとも屈するのか。主人公に残された選択肢は、その二つだ。

ここ数年、自由を制限され、圧倒的な孤独を経験してきた私たち。その記憶を背景に、『Lost Man』は、いまこの瞬間にも存在する人間の物語を、抽象的なかたちで映し出している。