NOWNESS Experiments: Shabah El Rih
崩れかけたレバノンの劇場が、不気味な幽霊オペラの舞台となる
「ル・グラン・テアトル・デ・ミル・エ・アン・ニュイ」は、ベイルート中心部にある歴史的建造物だ。1920年代後半に建設され、国際的な公演や映画の上映が行われ、当時の中東文化の象徴となっていた。1975年の内戦後、建物は構造的な損傷を受け、やがて板で塞がれ、忘れ去られてしまった。2019年の民衆革命が起こるまで、この劇場を再生しようとする動きはなかったが、その革命をきっかけに、ついに閉鎖用の板が撤去された。
革命以前、歴史的な空間が失われていたためレバノンの豊かな歴史の深さを測ることは不可能であった。「この劇場は、復活させるべき歌の家です」と、監督のアヤ・アトゥイとアンソニー・サヒユンは語る。「文化史に空白があるため、もし戦争に荒らされていなければ、レバノンはどのような姿になっていたのか、確かめることは不可能です。」
政府の腐敗に対する革命に関する彼らの洞察は、『シャバ・エル・リーフ(Second Wind)』の、それ以外ではどこか幻想的な映像に、かなり政治的な色合いを添えている。ワード・スレイマンが舞台美術を手掛け、ナデル・バフスーンが撮影を担当した本作では、崩れかけた劇場の内部でたなびくカーテンにオペラ歌手モナ・ハラブの姿を投影することで、かつてのベイルートの雰囲気を巧みに呼び起こしている。