NOWNESS Shorts: Enviar y Recibir

イーストLAの倉庫作業員が、傷ついた商品に惹かれていく。ファストファッションが形づくるジェンダー規範を問い直す物語

ロサンゼルスを拠点とする脚本家・監督コズモ・サロヴァーラが手がけた短編映画『Enviar y Recibir』は、ファストファッションの倉庫で働く男が、傷のついたひとつの商品に愛着を抱くことをきっかけに、消費主義と硬直したジェンダー規範の結びつきを浮かび上がらせる。イーストLAでひとり娘を育てるシングルファーザーのラファは、あるドレスと、そこに込められた意味によって、次々と拒絶に直面する。そこから浮かび上がるのは、男性性と女性性がいかに「こうあるべきもの」として規定されているのかという問いである。


ロサンゼルスのリンカーン・ハイツに暮らし、ジェンダー・トランジションの初期段階にあったサロヴァーラは、近隣にあったファストファッション企業の本社で、業務を支えるジェンダーの明確な二極化に気づいていた。若い女性たちのために、そして若い女性たちによって生み出されることの多いファッションを載せたパレットを運ぶのは、主に男性の倉庫作業員たちだった。その異なる属性を持つ人々がもし交差したら何が起こるのか、その発想が本作の脚本の出発点となった。

「リンカーン・ハイツにあった、いまは閉鎖された本社の前を車で通るたびに、女性性と男性性が交わる消費主義の結節点について考えていた。社会からの期待やプレッシャーが、個人の欲望をいかに覆い隠してしまうのかに興味がある。ラファは、最後に自分自身の真実を受け入れるまで、いくつもの拒絶を乗り越えなければならない」

撮影監督アーレン・ミュラーとともに、16mmフィルムでの撮影を選択したことがサロヴァーラの演出を方向づけた。精密さを求められる撮影環境と、登場人物を捉える親密な距離感が、映像そのものに刻まれている。

限られた時間と資源のなかで制作された『Enviar y Recibir』は、ドレスを中心に据えた静かな人物描写へと展開していく。大量生産された商品が、私たちの「こうあるべき」という感覚をどのように強化していくのか。ひとつの傷ついた商品に宿る小さな欲望を通して、社会に適合するとは何を意味するのかを問いかける作品である。

3月 29, 2024