Portrait of a Place: The Missing Post Office
日本の粟島を訪れてみよう。かつての郵便局が、配達されなかった手紙の安息の地となり、亡き人や未来の自分へと言葉を届けている
日本の小さな島、粟島にある閉鎖された郵便局は、配達されなかった手紙の安息の地となっている。亡き人へ、未来の自分へ、そして別の道を歩んだ人生へと語りかける言葉。その先へと旅立つことのない手紙たちは、91歳の元郵便局長・中田さんの手に渡り、彼はその静寂と孤独を庭園のように大切に守っている。
日本のアーティスト、久保田沙耶氏によってアートセンターとして再オープンした「ミッシング・ポストオフィス」は、週に数時間だけ開放される部屋で、悲しみ、愛、感謝が綴られた手紙に込められた静かな哲学に思いを馳せながら、訪問者が手紙を読むことを歓迎している。
短編ドキュメンタリー『The Missing Post Office』において、クレマン・ルフェール監督は、島の情感に満ちた風景と、言葉を分かち合うことで得られる心の決着と癒やしを描き出している。たった1台のカメラと自然光のみを用い、1日で撮影された本作は、守り手としての役割を担う中田さんの忍耐と節度を映し出し、見知らぬ人々を結びつけ、語られずにいた言葉に命を吹き込む姿を描いている。