Private View: イグシャン・アダムス

南アフリカ出身のアーティストが、ヘイワード・ギャラリーでの展覧会および今後チューリッヒ・クンストハレで開催される展示において、スーフィズムとテキスタイルを題材としている

ヘイワード・ギャラリーでは、南アフリカ出身のアーティスト、イグシャン・アダムスの英国初となる個展『Igshaan Adams: Kicking Dust』を開催する。本展はその後、2022年2月にチューリッヒ・クンストハレへ巡回する予定だ。この分野横断的なテキスタイルアーティストは、人種、宗教、セクシュアリティを探求する多層的な物語の中で、織物、彫刻、インスタレーションを融合させた作品で知られている。


アダムスは、アパルトヘイト時代の南アフリカで育ったクィアなムスリムとしての自身の経験に根ざした作品群を築き上げてきた。彼の精巧なテキスタイル作品は、ロープ、麻ひも、銅線、絹、木、骨、ガラス、プラスチックビーズなど、天然素材と合成素材の両方を多用して制作されている。また、彼の作品はスーフィズム(神を求める過程において「内なる自己」の重要性を強調するイスラム教の神秘主義)の図像や原理にも着目しており、それを通じて自身のセクシュアリティと信仰の関係性を探求している。


本展のタイトルは、ノーザンケープ州で最も古い先住民の舞踊様式の一つである「リールダンス」に由来している。ダンサーたちの動きは実に生き生きとしており、まるで砂塵の中で遊んでいるかのように見える。ギャラリーの天井から吊り下げられた雲のような彫刻は、ダンサーたちが地面を蹴るたびに大地から舞い上がる砂塵のイメージを彷彿とさせる。


作家によれば、本展は「私たちが私的空間と公的空間の両方を移動する際に、集団として残していく痕跡」という概念を中心に据えている。この「移動」と「旅」の感覚を基に、作家はフィールドワークや衛星画像をもとに、ケープタウンの郊外で収集した「デサイア・ライン(desire lines)」を反映させた床敷きの織物を配置し、ギャラリー内に道筋を創り出した。未舗装の道や野原を横切る小道と同様に、「デザイア・ライン」とは、歩行者が定められたルートに従うのではなく、直感的にたどる即興的な小道のことだ。アダムスにとって、これらの道は風景の中に残る人間の痕跡であり、自由と越境の両方を象徴している。この「欲望」という感覚は、画一的なアイデンティティの枠組みから自らを解放しようとするアダムスの制作活動において、強く表れている。